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「道々の拾いもの」WEB
Vol.8(2007年3月)撫養街道「恋人峠」
道々の拾いもの8「撫養街道」
ANA機内誌『翼の王国』2007年3月号掲載誌より抜粋
道々に想う

[徳島県美馬市]

さて、前回まで2号続いたms氏に代わり、今回はmm氏単独による取材となった。行先は徳島県、ついでに淡路島を横断してもらった。(“ついでに”と簡単に注文したものの、実際の取材は結構大変だったと思う。)
この取材では、実はあるものをどうしても入手したくて、この時期のこの場所を選んだという下心もあったりする(少しだけ)。さて、それは一体なんだったのか。mm氏、あとはよろしくお願いします。
(ところで、確か今さっき2月号の原稿を書いていたような気もするのだが…。幻覚?) (tk)

徳島市の南西から山あいにある佐那河内(サナゴウチ)村のみでつくられているという幻の「ももいちご」、それが実は徳島取材のもともとのメインテーマ(=tk氏の下心)だった。tk氏には、これが食べたくて足を延ばしてみたところ時期はずれで食べられなかった――という忌まわしい過去があったらしい。
ところが、実際に現地に行ってみたら、この「ももいちご」、なんと大阪中央青果(株)のブランドで、大阪には出荷しているものの、地元ではこの時期(※取材は2006年12月初旬に行った)はまだ販売されていないとのこと…。取材も正式に申し込む必要があり、飛行機の時間が迫っていた私たちは泣く泣く取材と写真撮影を断念した。(なので、どんないちごか興味のある方は、ぜひ“ももいちご”で検索してみてください。)

それから、ついでに訪れた神戸〜淡路島。“ついで”にしては相当時間をとられてしまったし、このままお蔵入りさせてしまうのも寂しいので、ページ末の番外編でちょっとだけ紹介することにした。“ついでに”覗いてもらえるとうれしい。(mm)

[ライターの旅のあとくち]

大鳴門橋の桁に造られた遊歩道「渦の道」から、鳴門の渦潮を見て(?)きました。「行きたくないよ〜」「取材だもの、仕方ないですよ」──実は、同行者も私も高所恐怖症。海上45mの高さから、ガラス越しに渦潮を見下ろせといったって……渦潮より先に、自分の目がグルグル巻いてしまいます。「目をつぶって見てきた」という表現が正しいかも。そういえば、ラーメンやうどんにのっているナルト巻きは、この渦潮からついた名前なんですね。それなのに、徳島ラーメンにナルトがのっていなかったのは不思議でした。(mt)

[イラストのはなし]アンフィニベル

恋人峠に阻まれて思いを遂げることができなかった平安時代の恋人。現代の恋人たちは、「二人が離れることがないように」と峠の傍のフェンスに錠を掛ける。

今回のイラスト、はじめは峠・落人伝説・鐘・錠前など、コピーにも使われている素材が候補として挙がっていたのだが、制作チームが一致して「これをイラストにしたらおもしろい!」と思えるものがどうもなかった。そこで、原点に立ち戻り、企画当初の趣旨だった「コピーと直接結びついていなくてもいいから、意外性のあるおもしろいイラストを挿入しよう。」という方向で、イラストレーターの感性に委ねてイラストを起こしてもらうことになった。
こうしてでき上がってきたイラストには、コピーとは違う視点からみた恋人峠の世界が広がっていた。

イラストからは、ここを訪れた現代のカップルが、山間に響きわたる澄んだ鐘の音をBGMに、いざ錠に鍵を掛けて永遠の愛を誓い合おう、という瞬間がイメージできる。
読者の皆さんには、広告全体を通して恋人峠の雰囲気を感じ取ってもらえるとありがたい。

…とまぁ、もっともらしい事を述べてみたが、ほぼ素人の私には、イラストレーターの真意までは分からない。もし間違った解釈をしていたらごめんなさい。(mm)

道案内
徳島県広域地図

[撫養街道]

「撫養(ムヤ)街道」は、別名川北街道とも呼ばれ、鳴門市撫養から吉野川を北岸に沿って西に向かう街道で、三好市池田町で吉野川の南岸を沿って走る伊予街道に合流する。阿波国と伊予国とを結ぶ、阿波特産の藍の主要交易路だった。また街道の途中では、山間を通って讃岐国へ抜ける大小の峠道が分岐しており、阿波北方の基幹道路として重要な役割を担っていた。
現在では、県道12号がほぼ撫養街道にあたる。

徳島県詳細地図

[恋人峠]

源氏に追われた平家の一派が剣山に落ち延びたとき、公達(キンダチ)を慕って後を追った娘がさえぎられたという言い伝えがある、かつての難所。撫養街道からは県道12号、伊予街道からは国道192号から国道492号に入り、剣山に向かって30分ほど走ったところにある。
ここには、現地青年会が建立したラッキー宮殿のひとつ、「廉貞星(レンジョセイ)宮殿」があり、ここを訪れたカップルは、そばにある鐘を鳴らし、フェンスに鍵(南京錠)をかけて、永遠に結ばれることを願うという。この鐘が奏でる澄み切った音色は、恋人峠にこだましていつまでも鳴り響き、私たちをとても清らかな気持ちにさせてくれた。コピーにもあるように「この音を聴くためだけに出かける」価値は充分にある。
なお、このあたりの山道は車同士のすれ違いができないほど狭くなっている箇所も多いので、スピードの出しすぎにご注意を。また、落石にも充分注意したい。

そのほかの拾いもの

1「渦の道」

徳島県に入ってまず訪れたのは撫養街道のスタート地点でもある「大鳴門橋」。早速渦潮を見に遊歩道「渦の道」に行く。
とはいえ、「ライターの旅のあとくち」にもあるように、今回取材に行ったふたりは共にハイレベルの高所恐怖症。プライベートなら遊覧船にでも乗ってゆったりと見学しているところだが、そんな時間があるはずもなく、ガタガタと揺れる遊歩道のど真ん中を決死の覚悟で歩き(端っこは歩けません。)、へっぴり腰になってスケルトンの床を覗いて渦潮を探した。仕事だと言い聞かせると普段は絶対しないようなことまでできてしまうもんだ。ハードな仕事をさせられるお笑い芸人の気持ちがちょっぴり分かった。
結局、タイミングが悪かったのか肝心の渦潮は見あたらず。命がけ(?)の取材だっただけにとても残念だった。


渦の道

スケルトンの床

2「2層うだつのでんき屋さん」

「うだつ」は漢字で“卯建”と書き、小ぶりの屋根のついた小さい袖壁(ソデカベ)のことを言う。もともとは隣家からの火事が燃え移るのを防ぐ役割をしている壁だったが、いつの間にか富裕な家が競いあって立派なうだつを造るようになり、「うだつが上がらない」という言葉の語源になったといわれる。関西地方を中心に、うだつが造られた家は結構あるらしいが、貞光の2層になっている重厚なうだつは全国的にも珍しいらしい。
夕暮れどきの訪問だったが、歴史を感じさせる町並みに煌々と明かりが灯っている店が一軒。近寄ってみるとでんき屋さんだった。昔からうだつを上げていた商家は、ちょっと現代風なものを売ったりして、今でも商いを営んでいる。


2層うだつ

でんき屋さん

3「花梨」

今回、広告のもうひとつの候補になっていたのが、貞光にある「旧永井家庄屋屋敷」玄関口に、芳香剤代わりに置かれていた「花梨」。玄関口にのど飴の香りをただよわせていた。
実はこの花梨、屋敷の庭の片隅にたたずんでいる、幹の周囲が2メートル以上ある「日本一大きい花梨の木」として認定申請中の木になったものらしい。
これがなんと樹齢200年を超えるかなりの老木で、幹の中心部は空洞化して樹皮とそのすぐ下の層だけで立っているのだが、その状態でも毎年立派にたくさんの実をつけるという。
そんな姿を目の当たりにした取材班。この木に比べたらまだまだ若い自分たちはもっとがんばらなきゃなぁ、としみじみ思った。
でも、ごめんなさい。肝心の花梨の木は残念ながらあたりが暗くなってしまったので上手く撮影できず。(こんなのばっかりで、すみません。)やはり実際に行って、この日本一の花梨の木を確かめてもらいたい。


かりん

かりんの木

4「オデオン座」

「オデオン座」は回り舞台が付いている芝居・映画用の劇場で、1996年公開の映画『虹をつかむ男(主演:西田敏行)』のロケ舞台になった場所。江戸時代に藍の集散地として栄え、うだつの町並みでも有名な脇町にある。
この「オデオン座」、あまり上手く表現できないが、映画の舞台に選ばれただけあっていい味を出していた。とはいえ、この建物を保存しようという動きが起こったのは映画に使われた後のことなので、もし映画になっていなかったら無くなっていたのかもしれない。
取材に行った時期には、壁にクリスマスコンサートの案内も貼ってあったことから(※くどいようだが、取材は2006年12月初旬に行った)、今でも地元の人たちの交流の場として愛されているようだ。


オデオン座外観

オデオン座内部

5「閑定の滝」

県土の約8割を山地が占めているというだけあって、徳島県にはそっちこっちに崖や滝、峠などの自然スポットが散らばっている。そんな、あまたある名勝のうちのひとつ「閑定(カンジョウ)の滝」は、広告で取り上げた「恋人峠」からさらに車で5分ほど南下したところにあった。
記憶にある限り私が滝をこれほど間近に見たのは恥ずかしながらこれが初めて。テンションも上がり思わず水際までおおはしゃぎで駆け寄ってパシャパシャ撮ったのが右の写真。
ちなみに、この「閑定の滝」、取材から戻った後に知ったのだが、段瀑と渓流瀑の2つの水流が並んで落ちるという、めずらしい滝だったそうだ。(そのくらい前もって調べとけよ!っていうtk氏の声が…)


閑定の滝

「道々の拾いもの」WEB特別企画

「道々の拾いもの」WEB特別企画『兵庫の拾いもの 24-TWENTY FOUR-』へGO!

冒頭で触れたように、今回の取材、徳島を巡る前に“ついで”に淡路島を横断した。その行程で費やした時間は、なんとほぼ24時間!(まぁ、睡眠やらなんやらで半分近くは使ってますが…)この駆け足取材、せっかくなので特別企画として掲載します。ぜひご覧ください。

最後に

昨年8月から立ち上げましたこの『道々の拾いもの』ですが、Vol.8の今回を持ちまして、広告シリーズをいったん休止することとなりました。
毎月楽しんでいただいた方のことを思うと大変心苦しいのですが、しばらくお休みいただいた後、よりバージョンアップした形で再開しようと考えておりますので、何卒わがままをご容赦ください。
なお、こちらのWEBコンテンツも次回の「総集編(仮)」をもってひと区切りつけさせていただきます。内容はまだ企画検討中ですが、読者アンケートプレゼントを実施しようと考えております。広告では「ご意見・ご感想をお寄せください」と記しましたが、今しばらくお待ちください。
そういうわけで、次号をお楽しみに。(tk)

参考文献

  • 『週刊 日本の街道 No.9「四国・遍路道」』(講談社 2002年)

企画・構成・文(イニシャル入り文は除く):mm